教会はイエスの土台の上に立った。イエス様の言葉を信じて実行する人々が集まって教会に呼ばれてきて2千年を越える。イエスはこれまで一度も誰かに教会を開拓しろと命令しなかった。むしろ教会はイエス様、ご自分が直接建てるとおっしゃった(マタイ16:18)。ただ、私たちに行って弟子にしろと言っただけだ(マタイ28:19、20)。
ここにコシウォン教会を建てた私の話が一つある。
青年期。祈っているうちに私は教会を建てたくなった。狂ったように牧会がやりたかった。実際、幼い頃から周りの人々が牧師や宣教師になるよう助言した。しかし、一度も耳を傾けなかった。
そのようなことは変化山に登ってモーゼとエリヤと共にイエス様と対話した人だけがすることだと考えた。それとも雷と暴風の中で神様の大きな声を聞いたとか、突然深刻な病気が奇跡的に治ったとか、命を捧げると誓願した人たちが行く道だと思った。
そんな私に全く予想外のことが起こった。期待したように召命がはっきりとして与えられなくても構わなかった。無条件に牧師になりたかった。それも「今すぐ」になりたかった。
少しも遅れたくなかった。祈りの座で願いができるやいなや布団の包みを背負ってソウルに上がった。母校会の牧師が勉強した神学校があると聞いたからだ。
一応学校のあるさダン洞に行った。母に公衆電話で伝えた。夜9時だった。お腹がとても空いていた。ポケットには3万ウォンがあった。町を回ってみると、一見「寝食提供」アルバイト広告が目についた。コシウォンの前だった。
“マジックコシウォン”
他に選択がなかった。私はマジックコシウォンで24時間総務アルバイトを始めた。事務室を一晩中守り、120室を回りながら時期に合わせて家賃を集金することだった。ご飯は無料で、給料は部屋を提供する代わりに60万ウォンだった。
そこはとても狭かった。さらに事務室も机一つ、ベッド一つがかろうじて入る大きさだった。しかし、関係なかった。無条件神学大学院に進学しなければならなかったから。
部屋ごとに回りながら集金をするのに心が痛んだ。私よりもっと貧しい人々でいっぱいだった。アルコール中毒者、麻薬中毒者、家出青少年、職業女性たち、事業に失敗して借金取りを避けて隠れている家長たち。
彼らに会って胸に火がついた。教会を開拓するために長く待つ必要はなさそうだった。私は帳簿をもう一つ作った。元の帳簿は家賃集金のためのもので、もう一つは伝道のためのものだった。帳簿の表紙に「マジック教会」と書いた。
その中に部屋番号と名前を書いた。そしてそれぞれの祈祷タイトルを入れるカッコを作った。毎日7つの部屋を訪問し、それなりの訪問を始めた。
イエスは取稅人と罪人の友人だった(ルカ7:34)。当時、イエス様がソウルのどこかを訪問されるなら、私はそこがマジックコシウォンのようだった。彼らは一様にイエス様がとても必要な人々だった。貧しく、心身が壊れていて、真理の光がなくて苦労し、闇の勢力に精神的に抑圧され、霊的に押さえつけられていた。 そのようにコシウォン牧会が始まった。
事務室でノートを持って祈った後、各部屋を訪問した。人々は集金日ではないのに総務が訪問したことを不思議に思った。私は「新しく来た総務なので会話をしてみたい」と話した。一人も断る人がいなかった。会話は主に屋上で行われた。そこに古いソファが二つあった。
伝道が始まって数週間が過ぎた。ところが66号の部屋のおじさんに会うのが難しかった(名前は覚えておらず、部屋番号だけ覚えている)。その部屋からは死体の腐るにおいがした。ノックをしてもいつも返事がなかった。そんなある日、彼がドアを開けて対話に応じてくれた。
ほとんどの時間を部屋に閉じこもっていた彼は、麻薬中毒者であり逃亡者だった。事業に失敗し、同業者に裏切られ、詐欺の汚名まで着せられたようだった。
有名な大学を優秀な成績で卒業して留学まで行ってきた秀才で、幸せな家庭を築き、薬局事業も好調だった。10軒以上の薬局がすべてうまくいっていた。しかし、問題は麻薬性薬品を引き抜き始めたことから始まった。
この事実を知った同業者が先に彼を通報した。その過程で裏切りを感じてから壊れ始めた。二人は幼なじみだった。しかし、ある瞬間からひどく憎み始めた。
そんなある日、同業者が書類を作り、すべての財産を処分して消えた。それで彼は莫大な借金を負うことになったと言った。以後、家庭を保護する次元で書類上離婚をし、1年ほど隠れて暮らす過程で再び麻薬を始め、監獄に何度も行ってきた。そうしているうちに家族はばらばらになり、彼は今だに毎日酒と薬を飲んで暮らしていた。
昼間に始まった話が夕方まで続いた。話を終えた後、彼は私にお肉をおごってあげたいと言った。誰かが自分の話をそんなに長く聞いてくれたことがないんだって。そして、会話をしながら半日もお酒を飲まなかった自分を感心した。
食堂で彼が尋ねた。
「ところで何をする人だから私の話をこんなに長く聞いてくれるの?」
私は思いつき次第すぐに答えた。
“愛してるから”
突拍子もない短い言葉に神様が働いてくださった。しばらく沈黙していた彼が突然涙を流した。
彼は行き来しながら私が祈っていた姿を何度も見たと言った。最初は私が病人だと思ったという。ところが、見るたびにうずくまってつぶやいて、一度は何と言っているのか盗み聞きしたという(コシウォンは防音が全くできない。いくら小さくつぶやいても、少しだけ耳をすませば全部聞こえる)。
すると、コシウォンの人たちの名前を呼びながら祈ったというのだ。その後、新しく来たコシウォン総務が部屋ごとに訪問して対話をし伝道をしたという噂も聞いたという。私が牧師になる人だという噂も。
彼は生涯教会に一度も行ったことがないが、自分の番になるのを長く待ったと言った。そして涙をぬぐいながら言った。
「神様は本当にいらっしゃいますか? では、私は何をすればいいですか?」
私は何もしていない。ただ彼のために何週間祈っただけだ。そして会ってからも何もしなことがない。ただ半日、彼の暗い人生の話を聞いたのが全てだった。彼は神様がすでに伝道をしておいた魂だった。
私は答えた。
「イエス様を信じればいいです。兄貴、私が祈ってあげます」
私たちはハラミを焼いていたその場で一緒に祈った。迎接祈祷もした。そして私が読んでいた聖書をすぐに渡した。私たちは食事の後、屋上に戻った。
その夜、マジックコシウォン屋上では徹夜礼拝が行われた。私は彼に賛美歌<私のような罪人を生かした>を教えた。私たちは400回ほど繰り返した。賛美している間、ここ数週間迎接した人たちの一人一人が思い上がってきた。
真実は真実の行動によってのみ他人に伝わる_トルストイ(Leo Tolstoy)
[福音祈祷新聞]
このコラムは筆者の著書『最後まで行け』から著者の許可を得て抜粋、掲載します。
|ソン·ジュンギ|総神神学院卒。ウェイチャーチ担任牧師。「教会と宣教は一つ」という主張を理論だけでなく、宣教的教会開拓実行を通じて従順を通じて示している。 著書『最後まで行け』など10冊の本にこれまでの考えと従順の旅程を盛り込んだ。
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